2006年10月01日

山田孝之「手紙」

「手紙」の試写会に行ってきた。
前売り券も買ってあるんやけど、早く見たかったので。ネタバレがあるので見るのを楽しみにしてる人は読まないでくださいね。(夜中に書いたら、気になったところの方が強調されてしまったような気がしたのでちょっとだけ書き直し)

まず、全体的な感想としては、よかったです。決して派手な映画じゃないし、テーマも重い。テーマには賛否両論あると思う。「加害者(や家族)は差別されて当然」という平野会長の言葉、そして「差別のないところを探すんじゃない、君はここで生きていくんだ」という言葉、それを見た人がどう受け取めるかということかと思う。それは見た人それぞれやと思うし、宿題でもあるのかも。ただこの映画は、「差別はいけない」というきれいごとではなく、現実のなかで生きていく様を丁寧に描いていた。そこがよかったと思うところ。人間の悲しさとか優しさとか弱さも強さも、そのなかでとても「丁寧に」描いてると思った。そして、丁寧に描き出せる役者陣だったと思う。それはもう心の機微の細かいところまで伝わってくる。それがすばらしいとこだったと思う。

ストーリーとか演出について。
全体的には、原作の雰囲気がそのままに映像になってるなあと思った。原作のトーンというのか・・本を読んだときの感じはそのままだった。映像化して、雰囲気がそのままであるということはすごいことだし、そして、その雰囲気は好きな感じだった。

ただ、お兄ちゃんである剛志がちょっといい風に描かれすぎと思ったかなあ。原作を読んだときには剛志に感じた腹立たしさ。直貴や被害者の家族の苦しみに思いを致せない、ある意味「能天気」に(内容が能天気ということじゃないけど)手紙を書きつづける兄貴に対して感じた腹立たしさは映画の剛志では感じひんかった。映画では剛志はただ弟のために犯罪を犯して反省しているいい兄貴、やった。そういう意味では、原作よりもキレイに作ってあるのかも。

映画は原作とは別物、と思えば、わざとそういう風に作ってあるのかもしれない。

それから。
歌がお笑いになっていたというのは、見る前はどうなんやろーと思ってたけど、意外と大丈夫やった。お笑いの関連のシーンだけは少し明るさがあったのがよかったんかな。どっちかといえば歌の方がよかったかなとは思うけど、、、、映像としては、お笑いのほうが強弱がつくのかも。

役者さんたちについて。

山田孝之の演技はいつもどおりすばらしかった。高校生から父親まで演じ分け、重いものを背負って生きている姿を常にそのたたずまいと表情で見せていた。それは、泣くとか傷つくとか、そういう具体的な演技で見せるのではなくて、ただそこにいる直貴、たとえばバスに乗っている、工場で働いている、バーテンをしている、そしてお笑いをしているときでさえも、直貴のたたずまいには、そういう影というか、、何かを背負っているということを感じさせるものがあった。それが山田孝之のすごいところよなあー。被害者の家族の家で泣くところは、圧巻。この人の泣きはいちいち全く違う。

そのうえ、山田孝之は、「タイヨウのうた」の面影まったくなしで、この人は本当に自由自在に自らの雰囲気を変えられるんやなと改めて思った。もちろん演技力とか表現力とかは抜群やけど、加えて、なんか、身にまとう空気そのものを変えてしまう。そこが天才系やと思う。WBの損影の合間に「ジェニファ」を損影したって前教えてもらってびっくりしたけど、その勘九郎と隆志がおそろしいほどに全く違うのもそう。髪型もほとんど一緒やのに、違う人に見えるすごさ。今回も損影時期は近いと思うのに、全く別人でした。天才。

「手紙」の直貴は山田孝之がぴったりやったと思う。山田孝之と玉山鉄二、吹越満、などのキャスティングはすばらしい。吹越さん、すごくよかった。厳しさとちょっと温かさと苦しみとをほんの短いシーンの中で表現されてた。あの会長さんもよかった。原作どおりの存在感やった。玉鉄、最後の合掌しながら泣いているシーンで、めちゃくちゃ泣かされた。

けど、沢尻エリカはどうよ・・・なんかもうちょっと違う女優さんのほうがよかったような気が。沢尻エリカだけが原作との間で違和感があった。しかも沢尻エリカの関西弁がひどすぎた・・・・いや、関西弁にするならするで、もうちょっと練習しようよ!!なんぼなんでも。

ついでにもうひとつ・・・ヘアメイクさんとスタイリストさん、ちょっとどうでしょうか・・・ひとつは沢尻エリカの結婚後のあの髪型と服装。昭和30〜40年代(←よくわからんけど、なんとなくそのくらい?)ですか?って感じの、、、、沢尻エリカで母親の雰囲気を出そうとしてああなったのかもしれんけど、ちょっと違和感ありすぎで感情移入できなかった。それから、山田孝之の髪型。髪型がどうであれ、別に演技がいいから、いいといえばいいけど。。。なんかサラリーマンの雰囲気を出すならもうちょっと違うやろーと思ったりしてしまった、映画の最中に。そういうところに気持ちが行ってしまったところが残念。今まであんまりそういうところ、考えへんかったけど、髪型、メイク、服装って、大事なんやなあ。

全体としては、地味やけど、難しい挑戦やったと思うけど、いい映画でした。キャスティングも、(一部を除いて)すばらしかったと思う。とにかくもう一度じっくり見たいです。

前売り券を買ったら、プレスシートがもらえるというので、また買ってしまった。すてきなプレスシートでした。
posted by かえで at 20:11| Comment(9) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
とりあえず、本を読んでみたいなぁ。
吹越さん、いいなー。役者って思う人って何人かいるけど、みんな凄いって思う。
山田さんもそんなかんじなんやろうか。。。
Posted by ひな。 at 2006年10月01日 20:13
本はぜひ読んで!!
文庫本がもうすぐ出たら買うから、すぐにまわすよ〜
ひーちゃんが役者って思うのってどんな人?
山田さんは私の中では天才の座を獲得です。
Posted by かえで at 2006年10月01日 20:13
どうもー。お久しぶりです。手紙見ちゃいましたね。かえでさん。山田君は「天才」ですか。私も見ていて震えがきました。最後に到達した心境を演じきった最後の顔が目に焼きついて離れなくて。

スタイリングはひどかったですよね(爆)。
途中のヅラもかなり酷いことになってて、集中するのが大変だった!

でも演技と物語はよかったし、今原作を読んでいるんですが、全然進まなくて。映画のシーンだったり、表情がバババと浮かんできて、胸が締め付けられて、ちっとも進まないです。白夜行ではこういうことなかったんですけど。

白夜行の亮司以上に、直貴は山田孝之でないと演じきれない役だなと思いました。
Posted by balineko at 2006年10月09日 16:05
balinekoさん、お久しぶりです。
あの、あれは、ヅラだったんですか???
いや、あまりにも変なので、そう言われると納得です。が、そんなのってヘアメイクさんの仕事としてどうなんでしょうか・・・
映画見てから原作読むと、キャストが目に浮かんでしまいそうですね。私も文庫買ったので、もう一度読んでみよう。
直貴は、私も、勢いとかノリで演じてしまうような俳優さんには無理だったと思います。
Posted by かえで at 2006年10月10日 00:08
あはは!どこからがヅラかは私も分からないんですが、途中途中髪形が変なときありますよね(笑)。ヅラです。

文庫いいですね。今まで秘密が1位だったんですが、手紙が上になりそうです。
Posted by balineko at 2006年10月10日 21:41
ヅラだったのか〜〜〜〜・・・なるほど。
私は、東野圭吾さんだと、「白夜行」と「手紙」が一番かも・・今、いろいろ読んでます。
Posted by かえで at 2006年10月10日 23:30
とてつもなく不快です
まぁ、あなたの評価なんて少数意見になると思いますけど
Posted by 沢尻ファン at 2006年10月15日 02:05
沢尻エリカさんはいい女優さんだと思いますが、私がイメージした原作の由美子とは違っていたということです。あと関西弁も演出の問題として、どうしても関西弁にしなくてもよかったんじゃないかって。人それぞれの感じ方があると思います。ただ、沢尻さんの凛としたところは由美子に合っていた、という意見は確かにいえてるとも思います。「タイヨウのうた」でもそうでしたが、そこは沢尻さんの大きな魅力のひとつだと、私は思っていますので。
Posted by かえで at 2006年10月15日 02:29
あなたが山田孝之さんが死ぬほど好きなのは、原作ファンから大不評だった白夜行を大絶賛している時点でよくわかります。
そのようなあなたが、原作のイメージがなどと言われても説得力が。。(略
Posted by 沢尻ファン at 2006年10月15日 02:37
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